保険料を削減するなら保険は入らない方がいい

この記事は生命保険と損害保険の募集人資格を持つ管理人が書いています。保険会社と保険代理店で勤務し、現在も年間100件以上の事故対応と500件を超える保険相談を受け続ける知識と経験をもとに、一般に役立つ知ってほしい保険知識を紹介しています。

 

私は保険屋(保険代理業)をやっているので毎日お客さんの保険金請求の手伝いをしています。

保険屋と保険会社の違いはわからないという方はこちら

 

ここでは保険を生命保険(医療保険、終身保険など)・損害保険(自動車保険、火災保険など)と分けてお話しすることはしません。

例を挙げる時に分かりやすくするために区別することがあります。

保険は役に立つの?

私は生命保険も損害保険も取り扱う資格を持っており、僭越ですがその知識と経験でお客さんと折衝をします。

仕事をする中で、保険の契約をしていただく瞬間より、保険会社が保険金を支払う時にこそ保険の真の価値があることを何度も感じました。

お客さんの中には、

“保険は安心料だ”

“御守りみたいなものだから”

と言ってくれる人もいるけど、私はそうじゃないと思っています。

やはり困った時に役に立つことこそが保険の意義なんです。

保険は半製品

保険は契約した瞬間は半製品です。

保険金請求をし、保険金がお客さんの手元に渡って、やっと製品となるんです。

どれほど良い営業マンにも、どれほど良い契約内容にも、保険金が支払われなければなんの価値もないんです。

保険料を削減するなら保険は入らない方がいい

では保険金が支払われないのはどういう時か。

よくある例です。

  • 自動車保険は入っていた
  • 自動車事故が起きた
  • 加入している自動車保険の範囲では十分な保険金がもらえなかった

多くの人が基本的な自動車保険には入っています。

でも基本的な部分だけで終わらせてしまう人がすごく多いです。

“できるだけ保険料を安く”という要望は必要な補償まで省いてしまう可能性があります。

保険料を削減するということは補償内容を下げることです。

補償を下げるということはリスク(この場合、保険金をもらえない可能性)を上げることです。リスクを下げるために保険に入っているのに、保険に入る意味がなくなるわけです。

むしろ”保険には入っているから大丈夫!”と思っている分、入っていない人より危険性が高いとも言えます。

「必要な補償だけ残して、あとは安く抑えられないの?」と思われるかもしれません。

それは現実にはすごく難しいことです。

多くの保険には特約(オプションのようなもの)があり、僕はこの特約がすごく重要だと考えています。しかもこの特約には保険屋の想いが詰まっていることが多いです。

保険は
最低限必要なもの=基本補償
判断が必要なもの=特約
という構図になっています。

特約は事故例(保険会社が保険金を支払った例)が少なく、非常にイメージしづらいです。

しかし、特約の有無によってお客さんが救えるか、見過ごすことになるか、という大きな役割を担っています。

いい保険に入るのは難しい

私たち保険屋はお客さんのお財布事情は分からないし、知っていたとしても、保険の細かい特約まで説明の上、ひとつひとつ必要かどうか確認することはしません

理由は2つあります。

ひとつ目は嫌われたくないからです。

保険のことをずーっと話してる営業ってどうでしょう。嫌ですよね。

実際、長々と保険の説明をするとかなりの確率で嫌われます。

保険というのは目に見えない商品なので、嫌いな人からは入らないと考える人が圧倒的に多いです。私たちも営業成績に関わるのでそこまでして説明しないわけです。

ふたつ目はお客さんは自分が求めている保険を知らないからです。

パンフレットを最初から最後まで説明。いざ”どれが必要ですか?”と聞いても、まず間違いなく”分からない”という回答が返ってきます。保険とは資格を持っているくらいでは理解できないほど複雑なものなんです。

また、お客さんは必要だと感じても保険料が上がる事が目に見えているので、なかなか必要と言えないことも多いです。

そのため保険屋は結果的に自分で考えるしかなくなってしまうのです。

ベストな保険に入りたいなら必ずやるべき2つのこと

“八方塞がりじゃないか”

そんな事はありません。

ベストな保険に入るために必要なたった2つのコツがあります。

  • 思いつく限り自分の情報を開示する
  • あなたが私の立場ならどういう条件で入るかきく

たったこれだけです。

正しい判断をするために情報は必要です。自分のことを一から知ってもらうように説明していきます。

思考は堅実派、趣味はアニメ、月収は手取りでこれくらい、家賃はいくら、光熱費はいくら、交際費はいくら、趣味にこれくらい消えてしまう、残るのはこれくらいで、いくらまでが予算だけど実際には内容次第でどうにかできる、などなど。

教えてもらえる情報は多い方が自分の希望に近い提案ができることは間違いないです。

その上で、こう伝えます。

“あなたが私の立場ならどういう条件で入りますか?”と。

これで保険屋の無駄な勧誘や不必要な補償は9割カットできるはずです。

出された提案書を見て、もし万が一、何か府に落ちない部分があったり、納得できないようならすぐに中止した方がいいです。

保険において信頼は最も大事だからです。

最近は誰から入るか、を軽視する人も増えてますが、やはり誰と契約するのかはすごく大事なことです。

人生必ず保険が必要になるような事は起きてしまいます。そんな時によく知らない人から難しい事を言われても納得できるわけがありません。

ネット保険に入って、

“やっぱり戻ってもいいですか?”っていう人はすごく多いんです。

保険金請求を毎日のようにやる私たちだからこそわかる話ですが。

保険金請求のノークレームは保険屋にとって地獄

保険会社に保険金を請求しても、保険金をもらえないことがあります。

保険事故(保険会社が保険金を支払う可能性がある事故)で最もこわいのはこのケースです。

保険金支払いの対象にならず、保険会社が案件を取り下げることをノークレームと言います。

ノークレームは保険屋にとって地獄です。

自分を信頼して契約してくれたお客さんに申し訳が立たないです。これは本当につらいです。

お客さんに伝える瞬間は本当になんというか血が冷たくなるような感覚になります。全身の毛穴がすべて機能しなくなり、なぜか涙が出て出そうになります。

“契約してるのに保険金出ないの?”

“保険はなんの意味もないってことですか?”

いろんな言葉をもらいます。

これはこの仕事をやっていればある意味絶対に起きるどうしようもないことでもあります。

でも仕事の矜恃にかけて保険屋がそれを言う訳にはいきません。

なんとしてもお客さんの役に立つために私たちは最善の提案がしたいんです。

私たち保険屋の敵

保険の仕事をやっていると悪者にされることもままあります。

特に保険代理業は、昨今人気の高いダイレクト保険に対して、保険屋さんが仲介する分、代理店手数料というものが上乗せされるので高いために嫌われがちです。

しかも長い間、保険屋さんはダイレクト保険より高いという事実を隠していました。

それが最近は誰でも簡単に保険料見積もりを取ることができるようになり、明るみに出てきたわけです。

さて、そこにファイナンシャルプランナーという肩書きを持った人たちが現れます。

勘のいい人はすぐに「こいつらが敵か」と思うでしょうがそれは違います。

ファイナンシャルプランナーはどういう仕事か。

家族構成や資産状況などの情報をもとに、住宅・教育・老後など将来のライフプランニングをします。それに即した資金計画やアドバイスを行う仕事です。略してFPとも呼ばれます

さてこのFPですが、当たり前ですが相談料をもらって収入を得ています。(相談無料というのもありますが、別な項目でやはりお金はもらう設計にはなっています。)

それには相談の前後で何かしら変化が発生しないとお金は払えませんよね。

その変化は99%保険料の削减です。

先ほどから長々とお話ししてきたように、保険料を削減することはリスクを上げることになります。そして、それをするならいっそ保険には入らない方がいいとお話ししました。

私たち保険屋の敵は保険料の削減です。よく「無駄な保険料を削減して家計もスッキリ」みたいな文句を目にします。すごく切ない気持ちになると同時に、ある種の詐欺ではないかとすら思う時もあります。

ファイナンシャルプランナーは悪くない

しかし勘違いしてほしくないのはFPについてです。FPは海外では医師、弁護士と同レベルと言われるくらいプロフェッショナルな職業です。

ただし、海外では主に富裕層に対し資産を預かって資産運用をする、という業務に特化してる感があります。日本で言うところの証券マンとか投資信託アドバイザーとかそういう業種に入ってくる気がします。

FPの話に戻ります。日本のFPは”お金のプロ”とは言うものの、資産運用は積極的にやっていないので業務内容や成果が分かりづらい傾向にあります。

そのためお客さんにとって分かりやすい支出の削減、ライフプランシミュレーションなどをメインに行っています。

日本のFPが支出を削減するのは、日本人が節約志向だからです。私たち日本人が節約を求めているので、お客さんの求めるものを提案しているわけです。これは正しいと思います。お客さんの満足感も高いですから。

保険料を安くするためにFPに相談するのはやめよう

一周回ってまた同じ話に戻ってきました。

  1. FPが相談を受ける
  2. お客さんの役に立つために変化を提供する
  3. 保険料の削減
  4. 保険の価値が失われる

という流れが出来上がってしまいます。

ですから保険の価値を失わないようにFPには”保険料は削減できません”とはっきり伝えましょう。

保険の価値は自分で守るしかないんです。